放置は危険?歯周病が引き起こす意外な全身の病気
こんにちは。茨城県取手市にある歯医者「One’s歯科クリニック」です。
歯周病は、初期段階では自覚症状がほとんどないことから、沈黙の病気とも呼ばれます。気づかないうちに進行し、全身の健康にも影響を及ぼすこともある病気です。
「歯周病になるとどんな病気のリスクがあるの?」「予防のために何をすればいい?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、歯周病が引き起こす代表的な病気について解説します。日常生活でできる歯周病の予防法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
歯周病とは

歯周病とは、歯を支えている歯茎や骨に炎症が起こる病気のことです。歯周病の主な原因は、細菌が塊になってできるプラーク(歯垢)です。歯と歯茎の間の歯周ポケットと呼ばれる溝にプラークがたまり、歯茎に炎症を起こします。
初期段階では歯茎が赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりする歯肉炎がみられます。放置すると炎症が歯を支える骨にまで広がり歯周炎へと進行し、歯がぐらついて最終的には歯を失うこともあります。
歯周病は、日本人の半数近くの人が歯周ポケットを持つ歯がある歯周病とされており、国民病と呼ばれることもあります。痛みが少ないまま進行することが多いため、気づいたときには重症化しているケースも少なくありません。
参照元:厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」
歯周病が引き起こす代表的な病気
歯周病は口の中だけの問題ではなく、全身の健康に深く関わっています。ここでは、歯周病が引き起こす代表的な病気について解説します。
糖尿病
歯周病は糖尿病と相互関係があるとされています。歯周病が進行すると、歯茎の炎症によって炎症性物質が血液中に入り込み、インスリンの働きを妨げます。その結果、血糖値のコントロールが悪化し、糖尿病を進行させる恐れがあるのです。
また、糖尿病の方は免疫機能が低下しているため、歯周病にかかりやすく悪化しやすいとされています。糖尿病と歯周病は、互いに悪影響を与える関係にあるため、どちらの治療も行う必要があるのです。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は、細菌を含む唾液や食べ物が誤って気管や肺に入り込み、肺が炎症を引き起こす病気です。誤嚥性肺炎は、細菌のなかでも歯周病菌が原因となることが多いといわれています。
特に、加齢や病気によって飲み込む力が弱くなった方は、誤嚥によって肺炎を引き起こすリスクが高いです。
心筋梗塞
心筋梗塞は、心筋に血液が届かなくなり、最悪の場合死に至ることもある病気です。歯周病菌が血管内に入り込むと、動脈硬化を進行させるといわれています。
動脈硬化が進行して血管が狭くなると、血流が滞って心臓に十分な血液が届かなくなり、心筋梗塞を引き起こすリスクが高まるのです。心筋梗塞になる要因として、糖尿病や喫煙、脂質異常症なども挙げられますが、歯周病も心筋梗塞の発症や悪化に関わると考えられています。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳細胞が死ぬ病気です。心筋梗塞と同様に、歯周病菌が血管に入って動脈硬化を引き起こし、血栓ができやすくなります。脳梗塞は命に関わるだけでなく、一命を取り留めても後遺症が現れることも多いです。
早産・低体重児出産
妊娠中の歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを高めるとされています。歯周病菌が発生させる毒素や炎症性物質が血液を通して胎盤にたどり着き、子宮収縮を促進したり、胎児の発育に影響を与えたりする場合があるのです。
また、妊娠中はホルモンの変化によって歯肉炎を起こしやすいです。妊娠前から歯周病予防を心がけることが大切です。
認知症
最近の研究では、歯周病が認知症のリスクを高める可能性があることがわかってきました。歯周病菌が産生する毒素によって、アルツハイマー型認知症の原因物質が脳にたまりやすくなり、発症のリスクを高めると考えられています。
また、歯周病によって歯を失うと噛む力が低下し、脳への刺激が減ることも認知症のリスク要因となるとされています。
今日からできる歯周病の予防法

日々の生活習慣を工夫すると、歯周病の発症や悪化を予防できます。ここでは、今日から実践できる歯周病の予防法について解説します。
正しい方法で歯磨きを行う
歯周病を予防するには、正しい方法で歯磨きをすることが大切です。歯周ポケットの汚れを取り除く歯磨きの方法として、バス法があります。バス法は、歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に対して45度の角度で当て、小刻みに動かす方法です。
そのほか、前歯の裏側は歯ブラシを縦にして動かす、奥歯は口を軽く開けて磨くなど、歯全体のプラークを取り除けるよう部位ごとに工夫して磨きましょう。
また、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは約6割程度しか落とせないとされているため、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことも大切です。歯科医院では、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方も含め、磨き残しの状況や歯並びに合わせたブラッシング指導が受けられます。
定期的に歯磨きの仕方を教わることで、普段のブラッシングの質が向上し、歯周病予防につながるでしょう。
歯科検診を受ける
歯周病は初期段階では痛みや腫れといった症状がほとんどなく、進行に気づかないまま悪化することが多い病気です。歯科検診では歯周ポケットの深さを専用の器具で測定し、歯茎の炎症や歯石の有無を確認します。
検診を定期的に受けると、初期段階で歯周病を発見して治療を始められるでしょう。
歯科医院でクリーニングを受ける
歯科医院でのクリーニングも、歯周病予防として効果的です。歯磨きを丁寧に行っていても、完全にプラークを取り除くことは困難です。プラークが固まって歯石になると、歯ブラシでは取り除けません。
歯科医院のクリーニングは、歯の表面や歯周ポケットにたまったプラークを取り除き、歯石になるのを防ぎます。また、専用の器具を使ってすでにできた歯石も取り除き、歯の表面を磨き上げて汚れが再び付着しにくい環境を整えます。
自宅での丁寧な歯磨きと歯科医院でのケアを行うと、歯周病のリスクを大幅に下げられるでしょう。
食生活を見直す
歯周病を予防して歯の健康を維持するためには、食生活を見直すことも大切です。砂糖を多く含むお菓子やジュースを頻繁に摂っていると細菌が繁殖し、歯周病のリスクが高まります。
一方で、野菜や果物に含まれるビタミンCは、歯茎の健康を維持するために必要な栄養素です。そのほか、歯や骨を強くするカルシウムや、カルシウムを吸収しやすくするビタミンDなど、さまざまな栄養素が歯の健康に関わっています。
歯周病になりにくい歯をつくるために、甘いお菓子やジュースはできるだけ控え、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。
禁煙する
喫煙は歯周病の最大のリスク因子のひとつです。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、歯茎の血流を悪化させて免疫細胞の働きを低下させるため、炎症が進行しても自覚症状が出にくくなります。その結果、歯周病の発見が遅れ、治療効果も得られにくくなるのです。
喫煙者は、非喫煙者に比べて歯茎の改善が遅いといわれています。歯周病を予防して健康な歯を維持したい方は、禁煙を心がけましょう。
ストレスを溜め込まない
ストレスが続くと自律神経のバランスが崩れ、唾液の分泌量が減少します。唾液には口腔内の細菌を洗い流す作用や、酸を中和する働きがあるため、唾液が減ると歯周病菌が繁殖しやすくなるのです。さらに、ストレスは免疫力を低下させ、炎症を悪化させる要因にもなります。
例えば、仕事の忙しさで睡眠不足が続いて口内炎ができやすくなったり、歯茎が腫れやすくなったりする場合、免疫力が下がっているサインかもしれません。リラックスできる時間や十分な睡眠時間を確保すると、歯周病だけでなく全身の健康維持にもつながります。
まとめ

歯周病は、歯茎や骨に炎症を起こして歯を失う原因となる病気です。放置すると、口の中の炎症だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気のリスクが高まる場合があります。
歯周病を予防して歯の健康を保つには、毎日丁寧に歯磨きを行い、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。喫煙やストレスも免疫力を低下させて歯周病のリスクを高めるため、できるだけ禁煙し、十分に休息することも大切です。
また、定期的に歯科医院を受診することで、歯周病を早期に発見できるだけでなく、クリーニングやブラッシング指導といった予防ケアも受けられます。歯茎の出血や腫れなどの症状が現れる前に歯科医院を受診し、歯の健康を保ちましょう。
歯周病の治療を検討されている方は、茨城県取手市にある歯医者「One’s歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
当院は、気軽に通える歯医者を目指して虫歯・歯周病治療や小児歯科、ホワイトニング、入れ歯治療、インプラントなどを行っています。

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